Googleアドセンスの「シンガポール税務情報」提出方法|居住者証明書の取得からアップロードまで解説

ある日、Googleアドセンスの管理画面を開くと、シンガポールの税務情報をご提出してくださいという見慣れない通知が表示されることがあります。

突然のことに、「何か設定を間違えた?」「なぜ日本ではなく、シンガポールの税金が関係するの?」と戸惑う方も多いかもしれません。

これは日本でアドセンスを利用しているユーザーに求められている手続きの案内なので、安心してください。

正しく税務情報を提出すれば、1週間ほどで通知を消すことができます。

本ブログでは、税務情報に必要な書類と取り寄せ方、提出方法を順を追ってまとめていきます。

美図紀さん
美図紀さん

まずは、この手続きがなぜ必要なのか、背景から見ていきましょう。

シンガポールの税務情報の提出が必要な理由

結論から言うと、アドセンスの収益は、シンガポールにある「Google Asia Pacific Pte. Ltd.」から支払われています。

そのため、何も手続きをしないと収益は「シンガポール国内で発生した所得」と見なされ、現地の税率で源泉徴収(=税金の天引き)される可能性があります。

ただ、私たち(個人ブロガー)は日本に住み、日本で納税していますよね。

ここで活用できるのが、日本とシンガポール間の租税条約(同じ収益に二重に課税されないようにするための国際的な取り決め)です。

この条約により、「日本の居住者である」と証明すれば、シンガポールでの源泉徴収は免除されます。

つまり、Googleへの「シンガポールの税務情報の提出」とは、「日本に住んでいるので、シンガポールで課税しないでください」と申請するための、大切な手続きなのです。

シンガポールの税務情報を提出しないとどうなる?

では、もしこの手続きを忘れたり、無視してしまったらどうなるのでしょうか?

主に、次の2つのデメリットがあります。

収益から税金が源泉徴収される

先ほどお伝えした通り、日本の居住者であることを証明しないと、シンガポールの税法に基づき、googleアドセンスの収益から源泉徴収されてしまいます。

本来なら満額受け取れるはずの収益が、受け取る前に減ってしまうことになるのです。

アドセンスの支払いが保留される可能性がある

税務情報が未提出のままだと、Googleは正確な支払い処理ができません。

その結果、アドセンス収益の支払いが一時的に保留されてしまうこともあります。

こうした事態を防ぐためにも、通知が届いたら早めに対応することが大切です。

文野くん
文野くん

報酬元がシンガポールの会社だから、この手続きが必要なんだね。『税務情報』って通知がいきなり来たから、何か問題かと思って焦ったよ。

美図紀さん
美図紀さん

たしかに驚きますよね。でも、この手続きは『私は日本に居住しています』と証明するだけです。少し手間に思えますが、しっかりと対応していきましょう!

Googleアドセンスのシンガポール税務情報提出に必要なもの

では実際に、申請にはどんな書類が必要なのでしょうか。

「身分証明書をアップロードすればいいのでは?」と思われる方も多いかもしれません。

しかし重要なのは、本人確認ではなく、「日本の税務上の居住者であること」を公的に証明することです。

シンガポール税務情報提出に必要なのは、「居住者証明書」という書類です。

また、提出する際は、この書類をスキャンまたは撮影し、PDF・PNG・JPEGのいずれかの形式で用意する必要があります。

運転免許証やマイナンバーカードでは承認されない理由

ここで注意したいのが、運転免許証やマイナンバーカードは使用できないという点です。

これらの書類にはたしかに住所が記載されていますが、それだけでは不十分です。

「本人確認」や「現住所の証明」には使えても、税務上の居住地を証明する効力はありません

Googleが求めているのは、「租税条約に基づいて、日本に居住している」と示せる正式な証明書なのです。

必ず、次に説明する「居住者証明書」を取得しましょう。

居住者証明書とは?どこで手に入る?

居住者証明書とは、申請者が日本の税務上の居住者であることを証明する、税務署が発行する公的な書類です。

この証明書は、お住まいの地域を管轄する税務署に「居住者証明書交付請求書」を提出することで取得できます。

「税務署」と聞くと少し構えてしまうかもしれませんが、手続きはシンプルです。

次の章では、この申請書の書き方から、実際の取得方法までを詳しく解説していきます。

文野くん
文野くん

マイナンバーカードのコピーでいいと思ってた…。専用の書類が必要なんだね。

美図紀さん
美図紀さん

大事なのは“税務上の日本の居住者”だと証明することなので、税務署が発行する『居住者証明書』が必要なんです。

「居住者証明書交付請求書」の作成のしかた

「居住者証明書」を取得するには、まず「居住者証明書交付請求書」という書類を作成する必要があります。

この章では、書類のダウンロード方法から記入の手順、注意点までをステップごとに解説します。

STEP1:国税庁のページから様式をダウンロードする

まず、国税庁の公式サイトにある申請様式(テンプレート)をダウンロードしましょう。

国税庁「No.9210 居住者証明書の請求」ページ

ページ内の「居住者証明書および交付請求書の様式」→「1 租税条約等の締結国に租税条約に基づき提出する場合」という項目を探してください。

その直下にある「居住者証明書交付請求書・居住者証明書(租税条約等締結国用)」が申請様式になります。

この書類には、以下の2種類があります。

  • 入力用PDF:PCで直接入力できます(※一部環境では入力不可のことも)
  • 印刷用PDF:印刷して手書き記入用

どちらでも提出可能なので、作業しやすい方を選びましょう。

e-taxで申請をしたい場合は入力用PDFで書類を作成するのが楽です。(提出ファイルがPDFの指定なので)

入力用PDFを使う場合の注意点
ブラウザ上で開くと入力がうまくできないことがあります。
ファイルをいったん保存してから「Adobe Acrobat Reader」で開いて作業するのがおすすめです。

STEP2:交付請求書に記入する

ダウンロードした書類を準備できたら、以下の項目を記入していきます(手書きでもPC入力でもOKです)。

主な記入項目(全8か所)

  1. ___税務署長 殿
    → お住まいの地域を管轄する税務署名を記入
  2. 請求日
    → 書類を提出する日付を記入
  3. 住所および居所
    → 現住所を日本語と英語の両方で記入
  4. 氏名または名称
    → フリガナ・氏名(日本語)・氏名(英語/ローマ字)を記入
  5. 電話番号
    → 日中に連絡が取れる番号を、市外局番から記入
  6. 提出先の国名等
    「シンガポール」(日本語)と**「Singapore」**(英語)の両方を記入
  7. 証明書の対象期間等に関するチェック項目
    → 上から3つすべてにチェック (個人、請求年、租税条約に基づく申請)
  8. 請求枚数
    → Googleへの提出用に「1」と記入

所轄税務署の調べ方

自分の住所を管轄している税務署がわからない場合は、以下のページで郵便番号を入力して検索できます。

国税庁「国税局・税務署を調べる」

英語での住所の書き方

英語表記が不安な方は、住所を自動で変換できるサービスが便利です。

日本語の住所を入力するだけで、英語形式に自動変換してくれます。

住所を英語表記に簡単変換 – 君に届け!

【最重要】住所の記載はアドセンス登録情報と完全に一致させる

記入する住所の表記(日本語)は、Googleアドセンスに登録している住所と完全に一致させましょう。

たとえば、アドセンスでは「1-2-3」と登録しているのに、請求書に「一丁目二番地三号」と書いてしまうと、別人扱いされる可能性があります

  • 数字、漢数字
  • ハイフンの有無
  • アパート名・部屋番号の表記方法 など…

細かい違いでもgoogle側から「シンガポール税務情報の提出」が差し戻される可能性があるため、一字一句同じ表記にすると安心です。

Googleアドセンスに登録した住所の確認方法

Googleアドセンスにログイン
お支払い→お支払い情報
設定→設定を管理する
お支払いプロファイルの「住所」の項目をチェック

鉛筆のアイコンをクリックすると編集できます。

文野くん
文野くん

書類って、どこに何を書けばいいか迷いますよね。英語の住所もハードル高くて…。変換サイトがあるのは助かる!

美図紀さん
美図紀さん

特に住所は、アドセンスに登録している表記と一字一句そろえるのが、申請をスムーズに進めるコツです!

税務署に「居住者証明書」を請求する方法

前の章に従って「居住者証明書交付請求書」を作成できたら、いよいよ税務署に提出します。

申請方法は、以下の3つから選べます。

  1. e-Tax(電子申請)を利用する
  2. 郵送で提出する
  3. 税務署の窓口に直接持参する

どの方法でも申請できますが、手間や時間、費用を考えると、自宅からe-Taxで申請するのがおすすめです。

確定申告などでe-taxを使い慣れている人は、サクッとできると思います。

なお、交付手数料はすべての方法で無料(切手代・封筒代を除く)です。

1. e-Taxを利用して居住者証明書を請求する方法

マイナンバーカードを持っている人は、すべての手続きをオンラインで完結できるe-Taxが便利です。

印刷・郵送の手間もかからず、切手代も不要です。

準備するもの
  1. 完成した「居住者証明書交付請求書」のPDFファイル
    ※ 手書きで作成した場合は、スキャナなどでPDF化する必要があります。
  2. マイナンバーカード
  3. マイナンバーカードの読み取りができるスマートフォンまたはICカードリーダライタ

e-taxを使った申請の手順

「申請・納付」メニューを選択

※はじめて利用する方は「事前準備セットアップ」が必要です。

「申告・申請・納税」→「新規作成」 を選択

一番下までスクロールし、「イメージデータで送信可能な手続」 をクリック

カンタンな入力:基本情報を入力(表示される簡単な項目)
手続名称の検索欄に「居住者証明書」と入力

「居住者証明書の交付請求」を選択する

提出先の税務署を確認

通常は自動で選択されます。表示されない場合は手入力してください。

「ファイルを選択」からPDFをアップロード

添付書類名称を入力

例:居住者証明書交付請求書、居住者証明書(租税条約等締結国用)

「次へ」→ 確認画面で内容を確認して「次へ」
「送信する」ボタンをクリック
確認ダイアログで「はい」を選択
提出完了画面が表示されれば申請完了!

申請後、通常は数日以内に税務署から電話連絡があり、証明書の受け取り方法(郵送 or 窓口)を確認されます。

郵送を希望すれば、自宅ポストに届けてもらえます。

筆者が実際に提出したときの情報

筆者は上記のe-Taxを利用した方法で、「居住者証明書交付請求書」を税務署に送りました。

筆者の住む管轄税務署では、切手代や封筒も税務署側が負担してくれました。

また、日曜の夕方に申請し、月曜日に電話があり、水曜日に自宅ポストに書類が届きました。

申請から受け取りまで3〜4日程度と、郵送等で行った人よりも短い時間で取り寄せることができました。

2. 郵送で居住者証明書を請求する方法

プリンターがあり、e-Tax環境がない方は郵送による申請が便利です。

準備するもの
  1. 居住者証明書交付請求書 ×2部
    提出用と控え用(税務署保管用)。原則「請求枚数+1部」必要です。
  2. 本人確認書類のコピー ×1部
    表裏両面。次のいずれか:マイナンバーカード・運転免許証・パスポート・顔写真付きの公的機関発行証明書(カラー/白黒どちらでも可)
  3. 返信用封筒 ×1通
    自分の住所と氏名を記入し、110円切手を貼付(税務署→自宅の郵送用)
  4. 送付用封筒 ×1通
    税務署の宛先を記入し、110円切手を貼付(自宅→税務署の郵送用)

 ※ 郵便料金は2025年5月時点で定形郵便は110円ですが、最新の情報は日本郵便のサイトをご確認ください。

郵送で税務署に書類を送る手順

「居住者証明書交付請求書」を2部印刷・記入

提出用と控え用で合計2部必要です。※ 仮に請求枚数が2部の場合は3部の印刷が必要

本人確認書類をコピー(表裏両面)

いずれか1種でOKです(マイナンバーカード、免許証など)

返信用封筒を準備

自分の住所と氏名を記入し、110円切手を貼ります(税務署からの返送用)

送付用封筒を準備

所轄の税務署の住所・宛名を記入し、110円切手を貼付します

以下の3点を送付用封筒に封入

・居住者証明書交付請求書(2部)
・本人確認書類のコピー(1部)
・返信用封筒(1通)

封筒を郵便ポストへ投函、または郵便局へ持ち込む
税務署からの返送を待つ

通常、投函から7〜10日程度で証明書が届く(税務署ごとにことなります)

3. 税務署に直接持ち込んで居住者証明書を請求する方法

家の近くに税務署があり、時間に余裕がある人は、窓口での直接申請も可能です。

その場で職員の案内を受けながら手続きできるため、書類に不備がないか不安な方にもオススメです。

準備するもの
  1. 居住者証明書交付請求書 ×2部
    提出用と控え用(税務署保管用)。原則「請求枚数+1部」必要です。
  2. 本人確認書類(原本)×1点
    マイナンバーカード・運転免許証・パスポート・顔写真付きの公的機関発行証明書(カラー/白黒どちらでも可)
  3. 返信用封筒+切手(※郵送受け取り希望の場合)
    自分の住所・氏名を記入し、110円切手を貼付して持参する。

税務署窓口で提出する手順

「居住者証明書交付請求書」を2部印刷・記入

 提出用と控え用で合計2部必要です。※ 仮に請求枚数が2部の場合は3部の印刷が必要

本人確認書類を忘れずに持参

郵送での受け取りを希望する場合は、返信用封筒と切手も準備しましょう。

所轄の税務署に行く
入口や案内窓口で「居住者証明書の交付申請に来ました」と伝える

所轄税務署の担当窓口を案内してもらいましょう。

窓口で書類を提出・本人確認書類を提示
証明書の受け取り方法を選ぶ

郵送(返信用封筒を提出)、再度税務署を訪れて直接受け取る等、税務署スタッフの案内に従いましょう。

交付を待つ

再来署の場合は、再訪時に本人確認書類を再提示して受け取ります。

郵送の場合は、数日~1週間程度で自宅に届くのが一般的です。

その場で交付されるケースもありますが、多くは後日対応となるため、日程に余裕を持って申請しましょう。

文野くん
文野くん

申請方法って3つもあるんだね!家で完結できて、切手代もかからないなら、e-Taxが一番ラクそうです。

美図紀さん
美図紀さん

マイナンバーカードがあればe-Taxが一番おすすめです。郵送や持ち込みの場合は、請求書を2枚用意するなどの注意が必要ですよ。

Googleアドセンスでシンガポールの税務情報を提出する

税務署から無事に「居住者証明書」が届いたら、いよいよ最後のステップです。

この書類をGoogleアドセンスに提出すれば、一連の手続きは完了します。

作業自体はシンプルで、数分あれば終わります。

STEP1:居住者証明書をデータ化する

まず、紙の証明書をGoogleにアップロードできる形式に変換しましょう。

  • 方法:スキャナ or スマートフォンのカメラで撮影
  • 保存形式:PDF、PNG、JPEG のいずれか

また、画像は文字がはっきり読めるかどうか確認しておくと安心です。

ぼやけ・影・反射・端切れなどがあると審査で差し戻される可能性があります。

不鮮明な場合は、角度や明るさを変えて撮り直しましょう。

STEP2:アドセンスで税務情報を提出する

証明書のデータが準備できたら、アドセンス管理画面から提出手続きを行います。

Google Adsenseにログイン
左メニューから「お支払い」 → 「お支払い情報」 を選択
「設定」内の 「設定を管理する」 をクリック
お支払いプロファイル画面を下にスクロール
「シンガポールの税務情報」横の鉛筆アイコンをクリック
「税務情報の管理」 → 「税務情報の追加」 を選択

STEP3:フォームの入力内容

入力フォームには、以下のように回答すればOKです。

質問回答内容
業種をお知らせください。個人の運営者
※ご自身の業種に応じて変えてください
シンガポールに恒久的施設を所有していますか?いいえ
海外ベンダー登録制度に基づいて、シンガポールの物品サービス(GST)に登録されていますか?いいえ
免税対象となっていますか?はい
税務上の居住地日本
居住者証明税務上の居住地の証明書
アップロード居住者証明書のファイル(.jpg / .png / .pdf)を選択

すべての項目を入力したら、「送信」ボタンをクリックして提出完了です。

STEP4:審査・承認を待つ

送信後、ステータスが「審査中」に変わります。

数時間〜数日ほどで、「承認済み(緑色表示)」に変われば手続き完了です。

筆者のケースでは、平日の日中に提出し数時間で承認されました。

混雑状況によっては、最大数日かかることもあるようです。

美図紀さん
美図紀さん

シンガポール税務情報の登録が完了すれば、不必要な源泉徴収や支払い保留のリスクを回避できます。

文野くん
文野くん

最後までお疲れさまでした!