このページは、「エリオット波動理論をゼロから学び、トレードで使えるレベルになる」ための学習ロードマップです。
紹介するステップ通りに読み進めることで、理論の全体像を掴みつつ、実践的な分析力を効率良く身につけることができます。
最初に、最も重要な心構えを確認しましょう。
エリオット波動理論を学ぶ目的は「相場の未来を完璧に当てること」ではありません。
その本質は、常に変化する相場環境を正しく認識し、優位性の高い戦略を選択するための「思考法」を身につけることにあります。
このロードマップを終えたとき、あなたが到達している3つのゴールです。
- 複数の値動きシナリオを描き、その中から優位性の高いシナリオを選べる
- 選んだシナリオに基づき、エントリー/利確/損切りを迷わず実行できる
- トレンド相場では利益を狙い、レンジ相場では待つ。不明瞭な相場では無理に手を出さず様子見できる
以下は、学習の進捗を確認するためのチェックリストです。
各ステップの合間に、自分がどこまで理解できているかを確認してみてください。
- エリオット波動の根幹である「3つの絶対原則」を自分の言葉で説明できる。
- 上位足の環境認識と、下位足の波形カウントに矛盾なく整合性を持たせられる。
- メインシナリオが崩れた時の「サブシナリオ」を常に用意できている。
- エントリー前に、明確な根拠を持った利確・損切りポイントを決めている。
- 「値動きを当てる」という思考を捨て、期待値(リスクリワード)で判断する癖がついている。
※本コンテンツは投資助言を目的としたものではありません。理論の学習をサポートするものであり、最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。

まずは、エリオット波動理論という家の「土台」となるルールと、分析の「共通言語」となる基本用語を押さえましょう。
ここを確実に理解しておくと、後のカウントやシナリオ作成が安定し、応用力が格段に上がります。
STEP1-1|3つの原則を誤解なく正しく理解する
よくエリオット波動理論の3つの原則は、「インパルス(推進波)」のルールと混同されがちです。
ここでお話しする以下の原則は、全ての波形パターンに共通するエリオット波動理論の”憲法”とも言える大原則です。
- 原則①:相場は「5つの推進波+3つの修正波」で1サイクルを形成する
上昇・下降いずれのトレンドも、5波進んで3波で調整する基本構造を持つ。 - 原則②:相場はフラクタル構造でできている
大きな時間軸の波の中に、小さな時間軸の同じパターンが入れ子状に現れる。 - 原則③:波形パターンは5つの基本形に分類できる
インパルス/ダイアゴナル/ジグザグ/フラット/トライアングルの5種類に整理できる。
STEP1-2|分析の精度を上げる「基本用語」の定義
正確な分析は、言葉の正しい理解から始まります。特に「波」と「波形」の違いは重要です。
- 波
チャート上における、単一の上昇または下落の動き。値動きを構成する最小単位です。 - 波形
複数の「波」が集まって形成される、意味のある値動きの塊(パターン)。
(例:ジグザグ波形は3つの波で構成される) - 波の大きさ
その波が持つ価格的な規模のこと。分析する際は、時間の長さではなく価格の変動幅で波の序列(大きさ)を判断します。 - 推進波
より大きなトレンドと同じ方向に進む波のこと。 - 修正波
より大きなトレンドとは逆の方向に進む、一時的な調整の波のこと。
エリオット波動理論の基礎▼

エリオット波動理論の核心は、一見ランダムに見える値動きを特定の「波形パターン」に分類して値動きを予測することにあります。
各波形の特徴を理解すれば、今が相場のどの局面なのかを判断し、次の展開を有利に読み解くことができます。
まずは、基本となる5つの波形を学び、最後に複雑な修正波である複合修正波を押さえましょう。
STEP2-1|トレンドを作る2つの推進波を理解する

まずは、トレンドを作る推進波の1つである「インパルス」について理解を深めるところから始めましょう。
「インパルス」は5つの基本波形の中でも最も値動きが大きくなりやすく、トレンドに順張りすることで利益を出しやすい波形です。
基本的な特徴を理解したら、例外パターンやトレードに活かせる実践ポイントを押さえましょう。
インパルスの解説記事▼


次に、同じ推進波の仲間として「ダイアゴナル」という波形について理解することも大切です。
「ダイアゴナル」はトレンドの始まりや終わりに出現することが多く、トレンド転換を予測する際に特に役立つパターンです。
まずは基本的な特徴を押さえて、「リーディングダイアゴナル」と「エンディングダイアゴナル」を使ったトレード戦略について理解しましょう。
ダイアゴナルの解説記事▼

STEP2-2|シンプルかつ高頻出の修正波「ジグザグ」を押さえる

修正波を学ぶ際には、まず初めに最もシンプルかつよく相場に出る「ジグザグ」について知るのがオススメです。
トレンドと逆方向に動くにもかかわらず、値動きとしては多くくなる傾向があり、利益を出すチャンスにもなり得ます。
フィボナッチ比率による値動き目安・他の修正波への派生の例まで理解できると完ぺきです。
ジグザグの解説記事▼

STEP2-3|横ばいの相場で出る修正波「フラット」「トライアングル」を学ぶ

横ばいの相場で出やすい修正波の1つ「フラット」は、上値と下値で水平にチャネルラインが引ける形をしています。
上昇・下落ともに同程度の大きさの値動きをするため、エントリータイミングを見誤ると売り・買いともに損失を出しやすいです。
基本的な特徴のほか、例外パターンも多いので細かく知識を頭に入れておきましょう。
フラットの解説記事▼


もう1つの横ばいの修正波として「トライアングル」は、上下の値動きが次第に小さくなっていく特徴を持っています。
「トライアングル」自体にはトレード機会はありませんが、「トライアングル」完成後には、大きく元のトレンド方向に値動きをしやすいという特徴があります。
「トライアングル」E波を狙った押し目買い・戻り売り戦略をマスターできれば、損小利大を実現しやすくなります。
トライアングルの解説記事▼

STEP2-4|修正波の応用編である「複合修正波」を学ぶ

修正波「ジグザグ」「フラット」「トライアングル」を押さえたら、それらが組み合わさった「複合修正波」について学んでいきましょう。
複雑かつ事前に予測することは難しい波形ですが、知っているだけでも「基本波形に当てはまらない相場」に出くわしたとき正しい判断が可能になります。
「複合修正波」の知識を頭に入れれば、一段上の精度でエリオット波動による分析・予測ができるようになります。

エリオット波動の各波は、市場参加者の心理状態を映し出したものです。
典型的な「波の動きと投資家心理の対応関係」を理解すると、単なる波形の認識にとどまらず、相場の背景にある群集心理を予測して行動できるようになります。
特に長期足では、多くの参加者の心理が反映されやすく、波の意味合いがより明確に表れます。
売買判断の直接的な根拠とはなりませんが、典型的な群集心理を知っておくことで、自分のトレード戦略や判断に自信を持つことができます。
エリオット波動理論と相場心理を解説記事▼


どんな分析手法にも長所と短所があります。エリオット波動理論も例外ではありません。
強みを活かし、弱点を理解して補うことで、より実践的なツールとして使いこなせるようになります。
エリオット波動理論を用いてトレード戦略やチャート分析を行う際には、どのような点に気を付けるべきかを知っておきましょう。
エリオット波動理論を使う強み(概要)
エリオット波動理論の魅力は、相場の大きな流れを把握しやすいことです。
波形の特徴を理解すれば、値動きのシナリオ予測やトレード戦略に直結します。
- シナリオ思考が身につく
→ 複数のシナリオを描く習慣により、感情的なトレードを抑えられる。 - 波形に基づく根拠ある判断が可能
→ エントリーや損切りを「パターンの特徴」に沿って設定しやすい。 - マルチタイムフレーム分析と相性が良い
→ 複数の時間足を組み合わせて、一貫性のある分析ができる。
エリオット波動理論の弱み・注意点(概要)
一方で、エリオット波動理論には注意すべき点もあります。
とくに初心者のうちは「正しくカウントできない」「後付けに見える」と悩みやすいです。
- 主観が入りやすい
→ 波のカウントが感情やバイアスに左右されやすい。 - 慣れるまで難しい
→ 複雑なパターンでは、次のシナリオを立てられず「後付け理論」と誤解しやすい。 - 単独では不十分
→ エリオット波動だけに頼らず、移動平均線やオシレーターなど他のテクニカル指標と組み合わせるのが現実的。
エリオット波動理論のメリット・デメリット▼

エリオット波動理論について「より本格的に学びたい」「失敗したくない」という方は、以下で紹介する書籍のいずれかを読むのをオススメします。
書籍として¥3,000~¥4,000は高めに感じるかもしれまんせんが、手元に置いておくと内容を確認しながらチャート分析を進められるので便利です。
初心者でもわかるように丁寧に解説、読みやすく図解された1冊です。
一読してすべてを理解するのは難しいですが、何度も読み返して現在の相場にアウトプットしていくことで、エリオット波動理論の考え方が身についていくでしょう。
18銘柄、250の検証実例が収録されています。
エリオット波動理論の基本的な知識はもちろん、各エリオット波形の事例が紹介されており、どのように分析やトレードをしていくか参考にすることができます。