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FXにおいて、利益を追求することはもちろん重要ですが、それ以上に重要なのが損失をいかに最小限に抑えるかです。
損切りはリスク管理における最も基本的なスキルの1つです。
しかし、多くのトレーダーがこの損切りを行うことに苦手意識を持っています。
もう少し待てば価格が戻るかもしれない…
いま損切りするのは早すぎるかもしれない!
このような思いは誰もが何度でも経験するものです。
損切りを決断することは簡単なようでいて難しい。心理的なハードルが高く、多くのトレーダーの悩みの種です。
経験者であっても1度損切りができなかったことで、致命的な大きな損失を抱え込んでしまうことも少なくありません。
なぜ経験者であっても、資金を守るために重要な損切りをためらってしまうのか?
それは頭のよさ、直感の鋭さなど関係なく、人間の心理的な部分に原因があるからです。
本記事では、損切りができない原因となる心理と具体的な対策をまとめました。
損切りの実践が難しい背景には、行動経済学から見える人間の心理と非合理性が関わっています。
伝統的な経済学では、人間は合理的な判断を下し、自己の利益を最大化するとされています。
しかし、実際の投資行動を見ると人間の非合理性や心理的バイアスが経済行動に大きな影響を与えていることが明らかです。
行動経済学は、このような「合理的でない人間」の行動を研究する分野です。
損失が大きくなる前に損切りするのが合理的だけど、なかなか行動できないんだよね。
普段は合理的な人でも「お金がかかった勝負」となると合理的な判断が鈍ります。
損切りができなくなるまでの流れ
損切りができない現象も行動経済学の観点から見ることで原因を細分化できます。
まぁ、まだ慌てるときじゃない。
相場が怪しい。損はしたくないから建値まで来たら決済しよっと。
こんな大きな損失…冗談じゃない!耐えてれば戻るはずだ…
これだけ時間をかけて耐えてるんだから、利益になるまで決済しないぞ。
テクニカル的に反発しそうだし、SNSではみんな買ってるし、経済指標は…だからいま損切りする方が間違っている!
もっと前に損切りしていれば…もう強制ロスカットか建値まで戻るのを待つしかない。
これらの心理的要因を理解することで、損切りができない行動に対して効果的な対策を講じることが可能になります。
ゼロリスクバイアスと損切り
ゼロリスクバイアスとは、リスクを完全になくそうとする心理的傾向です。
含み損が小さいうちに損切りをするのではなく、リスクを完全に回避するために同値撤退や微利益での撤退を目指して耐え続けようとします。
適切な損切りのタイミングを逃して、含み損が膨らむリスクを高めてしまうことが多いでしょう。
ゼロリスクバイアスにより、トレーダーは含み損が小さい段階で損切りを行うことができなくなります。
損失を最小限に抑えるためには、早い段階で損切りを行うことが重要です。
しかし、最小限の損失すら許容できなくなるのです。
損失を全く受け入れることができないために、最適な判断ができなくなります。
トレーダーは、損失を一切受け入れずに取引から抜け出すことが最善だと誤信し、結果的にさらなる損失を招く行動を取りがちです。
少しでも損をしたくないと考えてしまう人は、ゼロリスクバイアスを強く受けているかもしれません!
まずは含み損に対する自分の思考を自覚することが必要だね。
プロスペクト理論と損切り
プロスペクト理論とは人間の意思決定に関する理論です。
人々がリスクを伴う選択を行う際、損失と利得を非対称に評価することが明らかにされています。
人は同じ金額の損失を同じ金額の利益よりも遥かに重く感じる傾向があるとされます。
それゆえに、損失を避けようとする心理的傾向が強く、リスクを取ってでも損失を確定させたくないという感情が働く傾向があります。
1万円の利益はさくっと利確できるけど、1万円の損失になると何かと理由をつけて損切りを渋りがち。みたいなことです。
絶望的な状況とわかってても、含み損が利益に変わるワンチャンスを狙いがちだね~
人は含み損がある場合、その損失を確定させることに極端に不快感を感じ、避けようとしがちです。
これは、損失を確定することで生じる心理的な痛みを避けたいという欲求から来ています。
「損失を被るストレス」「自分の間違いを認める不快感」は誰でも避けて通りたいでしょう。
その結果、多くのトレーダーは
耐えていれば相場は戻ってくるはず…
という期待値の低いリスクを取る行動を選択します。
短期的には損失を避けることができるかもしれませんが、長期的にはさらに大きな損失を引き起こすリスクがある行為です。
サンクコストと損切り
サンクコスト(埋没費用)は既に支出された回収不可能なコストのことを指し、意思決定に影響するとされています。
人間は一度投資したサンクコスト(時間、お金、労力など)を無視できず、それが今後の判断を歪める原因となることがあります。
これだけ待たせられたのだから利益が出ないと見合わない!
長い時間含み損に耐えたのだから、今さら損切りなんてできない!
含み損に長く耐えているほど時間と労力をかけてしまうので、利益が出るまでポジションを保持し続けたくなる強い動機付けとなります。
その結果として損切りを行わずに判断を先延ばしにします。
相場の状況が好転する可能性に賭けるものですが、さらに含み損を膨らませるリスクを見落としがちです。
過去に投じたコストを基に未来の投資判断をすることは、「実際にはそのコストが回収不可能であること」を考慮せず、「非効率・非合理的なリソースの配分」につながります。
すぐに損切りをして、別のポジションを持てばそれが利益になった未来もあるはず。ということね。
含み損に耐えることに時間や労力をかけるより、新たに利益を出せる機会に目を向けるべき!
確証バイアスと損切り
確証バイアスとは、自分の信念や期待に合致する情報だけを受け入れ、それと矛盾する情報を無視したり軽視したりする心理的傾向のことです。
このバイアスにより、自分の持っている前提や仮説を支持する証拠には過敏になり、反証や反対意見には目を閉じがちになります。
「結論ありき」で都合の良い情報ばかり集めて、都合の良い判断をしてしまうので注意!
相場が自分の予測に反して動いているにも関わらず、そのポジションを保持し続ける理由を見つけ出そうとします。
損切りをしないで済むような好都合なニュースやデータを過大評価して信じようとします。
特に普段は重視していない判断材料(経済指標、ニュース、SNSなど)を当てにし始めると要注意です。
自分が正しいという確信を保ちたいという欲求が、客観的な分析を妨げ、適切な損切りタイミングを見失います。
一方で、損切りをすべきテクニカル指標やトレンド方向は軽視したり、無視したりします。
普段は重視しているシグナルでも、自分に都合が悪いと「今回は間違ってるかも」と軽視しがちです。
客観的な事実や予測よりも個人の希望や信念が意思決定を支配することになります。
結果的に理性的なトレード戦略を建てられず、含み損に耐える判断を下してしまいます。
人間は本質的に感情によって動く生き物であり、特にお金が絡むとその感情はより強く働きます。
損失は不快であり、誰しもがそのような状況を避けたい、間違いを認めたくないと感じるのは自然な反応です。
そのため、「常に感情を切り離してFXをする」ことは正直なところ難しいです。
しかし、心理的なバイアスの影響を受けづらくする状況や仕組みを作ることはできます。
対策❶ 逆指値を入れる
逆指値注文を活用することで、あらかじめ決めた価格に到達した際に自動的にポジションが閉じられるように設定できます。
市場の急激な変動でも、損切りしたくないと思っても、感情に流されることなく損切りを行うことができます。
ポジションを建てる前に「この価格帯まで来たら負けを認める」という分析を行うことが大切です。
ただし、逆指値をずらしてしまうと損切りできなくなってしまいます。逆指値を動かさない習慣をつけましょう。
対策❷ 時間軸を先延ばししない
例えば、デイトレード→スイングトレードに変えること。
デイトレードのつもりで建てたポジションを損失が発生したからといって、スイングトレードの目線に変えて保持し続けることはやめましょう。
また対策❶で述べたように、損切りを恐れて逆指値を不適切に移動させる行為も避けるべきです。
取引する時間軸を事前に明確にし、トレード戦略に忠実に従うことを意識することで、心理的なバイアスから身を守ることができます。
「自分はここでこうする」という強い意思を持つことが感情に支配されないコツ!
対策❸ レバレッジをかけすぎない
ハイレバレッジは大きな利益をもたらす可能性がありますが、同時に大きなリスクも伴います。
大きな金額であればあるほど、心理バイアスもかかりやすくなります。
許容できないリスク(含み損)を目の前にして冷静でいることは難しく、真っ先に「損切りしない」で生き残る方法を考えがちです。
自分が冷静でいられる適切なレバレッジを見つけ、自身のリスク許容範囲内で取引を行うことが大切です。
レバレッジは諸刃の剣!リスク・リターンのバランスを理解して有効活用しよう。
対策❹ 余剰資金でFXをする
FXには、失っても生活に支障がない「余剰資金」を使いましょう。
なくなると困る生活費や緊急時のための資金を投資に回すと、損失が出た際に感情的になりやすく、冷静な判断ができなくなります。
借金などは言語道断です。「失っては困る」から「含み損を確定できない」になるのです。
余剰資金での取引なら、損失が出ても精神的な負担が比較的に小さく、心理的バイアスの影響を受けづらくなります。
少額資金ではじめて、徐々に含み損に対するストレス耐性をつけていくことがオススメです。
関連記事:少額投資・リスク管理しやすいFX口座
この記事では、損切りができない原因と対策について詳しく解説しました。
損切りができない主な理由には、ゼロリスクバイアス、プロスペクト理論、サンクコスト、確証バイアスといった人間の心理が大きく関わっています。
これらの心理的傾向は、感情に基づいた非合理的な判断を引き起こし、適切な損切りタイミングを失わせます。
しかし、適切な対策を行うことで心理バイアスの影響を受けづらくすることが可能です。
- 逆指値注文を活用する
- 時間軸を先延ばししない
- 適切なレバレッジで取引する
- 余剰資金で取引する
「損切りができない」には心理的な理由があることを理解したうえで、対策を実践していくことが大切です!
こちらはFX関連書籍ではありませんが、行動経済学とは何か?全般を知れるビジネス書。
「人の認知のクセ」「状況が意思決定に影響する」「感情が意思決定に影響する」
といったテーマで体系的にまとめられています。
行動経済学が最強の学問である
相良 奈美香 (著)
まずは読みやすいビジネス書籍から入りたい人にオススメです!
FXに限らず投資全般に関する「市場理論」や「行動経済学」を網羅的に学べる1冊。
図解やグラフによる説明もあるので、「不確実性」「〇〇理論」「心理学」など抽象的な概念も比較的に理解しやすいです。
図解でわかる ランダムウォーク&行動ファイナンス理論のすべて
田渕直也 (著)
内容は難しめではあるので、本格的な内容をじっくり読みたい人にオススメです。
筆者らの教訓から「デイトレーダーとして成功する心構え」を言語化してまとめられた1冊。
FX・投資を行っていくうえで重要な「メンタル」「考え方」「やるべきこと・やってはいけないこと」など学ぶことができます。
デイトレード マーケットで勝ち続けるための発想術
オリバー・ベレス(著) グレッグ・カプラ(著) 林康史(監訳) 藤野隆太(訳)
メンタルや心構えの話が中心なので、FXをある程度やっている人に刺さる1冊です!