【図解】エリオット波動の修正波ジグザグとは?特徴とトレード戦略を解説!

エリオット波動理論にはトレンドに沿って進む「推進波」と、その逆向きに進む「修正波」の二つの波形があります。

この記事で説明する「ジグザグ」は「修正波」の1つで、他の修正波である「フラット」「トライアングル」よりも、値動きが大きいタイプの波形です。

美図紀さん
美図紀さん

修正波の中で一番値動きが大きく値動きもシンプルなので、事前に予測できれば利益が出やすい波形かもです。

文野くん
文野くん

値動きが大きいってことは、逆に損失も大きくなりやすいってことだね。事前に予測して逃げておくのも手だね。

さらに、「ジグザグ」は修正波の中でも最も基本的な形状を持つため、多種多様な波形の中に見られます。

その頻度の高さと価格の変動幅の大きさから、「ジグザグ」の理解はエリオット波動理論を用いた分析には欠かせない知識と言えます。

それでは、「ジグザグ」の特性とそれを利用した基本的なトレード戦略について解説していきます!

エリオット波動理論とは?

エリオット波動理論とは、相場の値動きが「推進5波」と「修正3波」というサイクルを繰り返すという考えに基づいた、テクニカル分析手法です。

エリオット波動理論における5波動の推進と3波動の修正を示した図(上昇トレンドの場合)

この理論の背景には、「市場は参加者の心理によって一定のリズムを描く」という前提があります。

以下の、3つの普遍的な原則に基づいており、基本波形の条件や特徴を知っておくことが分析において重要です。

  1. 原則①:相場は5つの波で推進し、3つの波で調整する
    → 「5-3構造」が基本となるサイクルです
  2. 原則②:相場の波動はフラクタル構造(相似形の繰り返し)を持つ
    → 小さな波も、大きな波と同じパターンを描く傾向があります
  3. 原則③:出現する波形パターンは5種類の基本パターンに分類できる
    →インパルス・ダイアゴナル・ジグザグ・フラット・トライアングル

エリオット波動理論自体については、こちらの記事をご覧ください!

【図解】エリオット波動理論とは?基礎知識をわかりやすく解説!

「ジグザグ」の基本的な特徴

トレンドと逆方向に進む修正波「ジグザグ」の値動きは、トレンドを作る推進波「インパルス」や「ダイアゴナル」に負けず劣らず、値動きが大きくなりやすいです。

また他の種類の修正波と比べても、圧倒的に価格が大きく変動する傾向があります。

そのような「ジグザグ」は以下の3つの特徴を持っています。

エリオット波動の修正波ジグザグの基本的な形
  1. A-B-C波の3波動でカウントでき、副次波は5-3-5で構成
  2. B波はA波の始まりを越えない
  3. C波はA波の終わりを下回る
文野くん
文野くん

この3つの特徴が当てはまれば「ジグザグ」の可能性と考えていいのかな?

美図紀さん
美図紀さん

だいたいそうね。ただ、特徴3については例外もあるので、後で詳しく話すわね。

以上の3つの特性が「ジグザグ」を他の修正波と区別する際の基準となります。

特徴① A-B-C波の3波動でカウントでき、副次波は5-3-5で構成

エリオット波動の修正波ジグザグのカウントと副次波

「ジグザグ」の波形は、A-B-Cという3つの波動で構成されていることが1つの大きな特徴です。

これらのA-B-C波はそれぞれが更に副次波を持ち、その構成は5-3-5波となります。

文野くん
文野くん

推進波の時は1~5で波をカウントしてたけど…?

美図紀さん
美図紀さん

推進波と区別するために、修正波のカウントはアルファベットで示すのが一般的なのよ。

ジグザグ中に現れる波形

「ジグザグ」を一回り小さな時間足を見たとき、

A波とC波は推進波で5波動の「インパルス」「ダイアゴナル」のいずれかで形成され、

B波は「ジグザグ」「フラット」「トライアングル」「複合修正波」などのあらゆる修正波の可能性があります。

美図紀さん
美図紀さん

B波は基本3波動なので「ジグザグ」「フラット」の確率が高いですが、もちろん「トライアングル」「複合修正波」も出現することもあります。

特徴② B波はA波の始まりを越えない

修正波ジグザグのB波はA波の始まりを超えない

「ジグザグ」において特に重要な点は、B波がA波のはじまりの価格帯に到達しないということです。

例えば、下落する「ジグザグ」の場合、A波の下落の始まり(上値)をB波は超えてはならないという原則があります。

これが「ジグザグ」であるかどうかを判定するための重要な基準となります。

ジグザグのB波がA波を超えてしまった場合のNG例

もしB波がA波のはじまりを越えてしまった場合は、「ジグザグ」ではなく「フラット」「トライアングル」「推進波進行中」の可能性が高いと考えることができます。

特徴③ C波はA波の終点を割り込む(例外あり)

修正波ジグザグのC波はA波の終わりを超える

「ジグザグ」のC波は基本的にA波の終了点を越えるという特徴もあります。

例えば、下落する「ジグザグ」の場合、C波はA波の下値をはるかに下回り、さらなる下落を見せます。

文野くん
文野くん

「さらなる下落」ってどのくらい大きいのかな?

美図紀さん
美図紀さん

これには目安があって、A波の値幅のフィボナッチ比率161.8%まで行く可能性が高いとされているよ。

中・長期の時間足(4時間~月足)で見ると、この「ジグザグ」パターンはより明確に現れやすいです。

【例外】ジグザグのフェイラー

美図紀さん
美図紀さん

特徴③が当てはまらない「ジグザグ」も例外として確認されているわ。

短期の時間足(1分足~1時間足)では、以下のようなC波の値動きも見られます。

修正波ジグザグのC波のフェイラー
  • C波がA波と同じ価格帯で値動きを止めて終わる
  • C波がA波の終了点を越えられない(フェイラー)

この時には「ダブルボトム」や「ダブルトップ」と呼ばれるチャートパターンが形成されることがあります。

「ジグザグ」が現れる波形

「ジグザグ」が出現しやすい位置として一回り大きな時間足の以下の波形です。

エリオット波動中にジグザグが出現する場所一覧
  • 「インパルス」「ダイアゴナル」の2波、4波
  • 「3-3-3-3-3型ダイアゴナル」の1~5波
  • 「ジグザグ」のB波
  • 「フラット」のA波、B波
  • 「トライアングル」のA~E波

以上のような位置が挙げられます。

文野くん
文野くん

「ジグザグ」はいろんな波形の中に現れるんだね~

「ジグザグ」を使った押し目買い/戻り売り

美図紀さん
美図紀さん

前述の通り「ジグザグ」は多くの場面で現れる波形なので、基本的なトレード戦略についても紹介します。

「ジグザグ」が「インパルス」や「ダイアゴナル」「ジグザグ」の中の一部として現れる際、押し目買い/戻り売りが効果的になることがあります。

具体的には、2波、4波、B波に「ジグザグ」が現れたときのトレード戦略になります。

例えば、上昇する1波に対して、下落する2波に「ジグザグ」が現れたとしましょう。

ジグザグを利用した押し目買い戦略
  1. 2波目と仮定した波は3波動に見えるためA-B-C波が完成したと仮定
  2. C波の下値を損切りラインとして上昇の途中で押し目買いを行う
  3. 5波動で進む3波目(インパルス or ダイアゴナル)の完成した価格で利益確定
文野くん
文野くん

つまり、「ジグザグ」のC波が完成したと考えた時点で押し目買いをするってことね。

美図紀さん
美図紀さん

その通り!C波の完成とした価格を損切りラインとすれば、損失も小さく抑えられるわ。

直近の「ジグザグ」の値動きに対しては逆張りとなりますが、一回り大きな時間足で見た際にはトレンドの順張りとなります。

ジグザグを使った押し目買いでの利益確定ポイント

損切りポイントは、「ジグザグ」の仮説が否定されるC波が割れた価格とし、利確する目安は、3番目の波が完成する副次波5波の終わりと予想される価格となります。

このような戦略を採用することで、損失は制限され、同時に大きなリターンを期待できる損小利大なトレードを実現できます。

「ジグザグ」で押し目買い/戻り売りが有効ではないケース

美図紀さん
美図紀さん

「ジグザグ」に関するトレード戦略は万能ではなく、オススメできない場面もあります。

フラット中でのジグザグの例

「ジグザグ」が「フラット」「トライアングル」の一部と予測される場合、先述の押し目買い/戻り売りの効果はあまり有効ではありません。

「フラット」「トライアングル」の形成中には、値幅が限定的になる傾向があり、頻繁に上下に揺れ動くからです。

トライアングル中でのジグザグの例

このような状況下では、リスクリワードから見て、大きな利益を期待できるトレードを実現することが難しいでしょう。

図のようにあらかじめ値動きが分かっていれば利益確定ポイントも見えてくると思います。

フラットになるかトライアングルになるかはわからない

しかし、実際のトレードでは「フラット」「トライアングル」のどちらになるかする事前に予測を当てるのは難しいです。

その波形が完成間近になって初めて認識できることが多いのです。

エンディング

修正波「ジグザグ」はトレンド逆方向に進み、比較的大きな価格修正する波形です。

ジグザグには、基本的な3つの特徴がありました。

文野くん
文野くん

① A-B-C波の3波動、副次波が5-3-5構成

② B波はA波の始点を超えない

③ C波はA波の終点を割り込む(例外あり)

だね!

また、「ジグザグ」は様々な波形とカウントで現れる可能性があります。

美図紀さん
美図紀さん

「インパルス」「ダイアゴナル」の2波、4波

「3-3-3-3-3型ダイアゴナル」の1~5波

「ジグザグ」のB波

「フラット」のA波、B波

「トライアングル」のA~E波

とたくさんの波形に現れる可能性があるわ。

基本的な戦略として「ジグザグ」のC波が完成したところでの逆張り(押し目買い/戻り売り)が挙げられます。

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美図紀さん
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美図紀さん
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